岩波新書から刊行されている『物理学はいかに創られたか』(原題:The Evolution of Physics)を読む機会があったので、この本の感想を簡単にまとめておこうと思います。
本書について
本のタイトル『物理学はいかに創られたか』からもわかると思いますが、この本は物理学の発展について書かれたものです。著者は、かの有名なアインシュタインとその弟子のインフェルト。アインシュタインに関しては今更の説明は不要かと思いますが、光電効果や相対性理論など、近現代の物理学に大きく貢献した偉人です。 岩波新書から日本語訳が出版されたのは1939年。この年は、第二次世界大戦の始まりの年でもあり、そこから現在に至るまで、半世紀以上に渡って読み継がれているロングセラーと言える一冊でしょう。
本の内容は?
さて、この本は高名なアインシュタインらが記した物理学の書。ならば、さぞかし難解な数式や記述なのだろうと思うかもしれません。ですが、この書には一切数式はでてきません。ただの一つもです。 この本に書かれているのは、古代から現代までの科学者らが直面した困難と、それをどう乗り越えてきたのかであり、その過程を思考実験をベースに読み解いていきます。 このことは、本の冒頭にもしっかりと書かれています(少し堅苦しい表現ですが…)。
「私たちは物理学の教科書を書いたのではありません。(中略)。私たちの目的とするところは、むしろ人間の心が観念の世界と現象の世界との関係を見つけ出そうと企てたことについて、その大要を述べてゆこうとする点にあるのでした。つまり世界の実在に対応するような観念を科学の名で案出してゆくところの原動力を示そうとしたのでした。」 (上巻・序文より)とはいっても、扱うものは物理学。日常で経験する現象から、普段の生活で経験しないような現象までを、広く浅く、そして平易な言葉で説明していきます。70年以上前の訳書なので、少し読みにくい部分もあるかもしれませんが、内容自体はシンプルでかつ直感的なものになっていると思います。
どんな人におすすめ?
対象となる読者についても、本書の冒頭に書かれてあります。
「読者は物理学や数学の具体的な知識を何ももっていなくとも、適当な思考力をもってさえいればよいと思います。ことに物理学的並びに哲学的思想に興味を抱く人々を望むのであって…(以下省略)」 (上巻・序文より)つまり、物理学やその思想に興味がある人なら誰でもOKということですね。 実際に、私がこの本を読んでみての感想ですが、
- 理系に進もうと思っている、または、理系の中高生
- 教養を高めたい大学生、社会人(文理問わず)
高校時代にこの本に出会えなかったことが悔やまれます。
まとめ
私の駄文でどの程度読者の方の心に響いたかはわかりませんが、今回紹介した『物理学はいかに創られたか』はかなりの名著だと思います。この投稿を通じて、少しでも多くの人がこの本、そして、物理学に興味を持っていただけたらと思います。
関連リンク
- Internet Archive, "The Evolution of Physics" (英語版が無料でダウンロードできます)
- 岩波書店公式Webサイト
- 物理学はいかに創られたか(上) (岩波新書) [新書](Amazon)
- 物理学はいかに創られたか(下) (岩波新書) [新書](Amazon)
更新記録
- 2012/11/10 投稿
参考資料
- アインシュタイン、インフェルト著 石原純訳 『物理学はいかに創られたか』 岩波新書



